昨年度までにゲノム網羅的解析は終了していたが、Sharp van der Heijde法によるスコア(SHS)の分布が正規分布から離れていたため、改めて対数化した値(log_SHS)をquantitative traitとして回帰分析の再解析を行った。昨年同様に以下の手順でQuality Controlを行った後に(1.Call rate<90%のサンプルを除去、2.Call rate<90%、non-autosomal、monomorphic、rsID以外のSNPID、同一SNPに複数のジェノタイプが存在するSNPを除去、3.MAF<0.1のSNPを除去)、回帰分析をした結果、P<1X10-5レベルで1SNP、P<1X10-4レベルで19SNPを同定した。これらのうち連鎖不平衡にある複数SNPからは1つを選択し、計15SNPについて461例の二次コホートによるvalidationを行い、さらにゲノム網羅的解析の結果と合わせたメタ解析の結果、1SNPでゲノムワイド水準を超えるP値が得られた(ABCA1/SLC44A1)。これを用いた予後予測可能性について現在検証を進めている。現在、関節破壊関連遺伝子を用いた診断治療アルゴリズムの修正作業をおこなっており、オーダーメイド医療システムのブラッシュアップと検証をはかっている。またサブ解析として疾患感受性遺伝子の同定も進めた。単独のゲノム網羅的解析では既知の疾患感受性領域であるHLA領域でゲノムワイド水準を超えたのみだったが、理研、京都大学とのゲノム網羅的解析のメタ解析の共同研究により、9つの新規疾患感受性領域を同定した(B3GNT2、ANXA3、CSF2、CD83、NFKBIE、ARID5B、PDE2A-ARAP1、PLD4、PTPN2)。これらについてもlog_SHSをquantitative traitとして回帰分析を行い、関節破壊との関連を検証したが有意な関連は得られなかった。
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