研究課題
本邦の角膜移植手術におけるドナー角膜不足は深刻であり、ドナー角膜を必要としない、角膜再生治療に期待がかかっている。本研究では、コラーゲン、ゼラチンを主体とした細胞外基質と角膜実質幹細胞を用いて角膜実質シートを作成し、これまでに作成した上皮幹細胞シート、内皮幹細胞シートと組み合わせることにより全層角膜を再構築し、研究期間内の臨床応用実施を目標に、動物眼での移植研究を中心に行っている。本年度はコラーゲンあるいはゼラチンを単独で家兎角膜実質内に移植し、拒絶反応の有無を確認するとともに、移植した人工実質内への細胞遊走および、長期生着性について調べた。次に、細胞外基質と角膜実質幹細胞を用いて三次元的に角膜実質を再生した。また、どの部位に組織幹細胞が局在しているが、角膜中心部、中間部、周辺部で組織幹細胞の局在を比較し、またその遺伝子発現(幹細胞マーカー : CD34、Nestin、間葉系マーカー : Vimentin、αSMA、神経系マーカー : NFM、β-Tublin、NSE、MAP2)をRT-PCRおよび免疫染色により調べた。培養角膜上皮、実質、内皮のいずれの部位からも細胞培養が可能であり、またスフェアーフォーミングアッセイ法により組織幹細胞の採取が可能であった。いずれの部位からの組織幹細胞はNestinおよびBrDUに強陽性となり、増殖能および未分化能を示した。それらのprogenyは上皮では上皮系マーカーを発現し、実質はkeratocyte用の形態を持ち、内皮はNa-Ka ATPaseに依存性のポンプ機能を有した。これらの結果は少なくともvitroの実験では、採取した細胞あるいは組織幹細胞が生体内と同様の機能および形態を保持しうることを示している。次年度はこれらの細胞を用いて、シートを作製し、動物眼に移植する研究を行う。本研究の培養角膜シート移植法はドナー角膜を必要としないため、本邦におけるドナー不足を解消できる。また大量培養をすることにより定時の手術が可能となり、患者と術者にとって、手術計画が立てやすくなる。現在角膜移植の費用は高く、更にドナー角膜が使用できない施設では輸入角膜移植を行い100万以上の移植費用が必要となるが、輸入ドナー角膜と比較した場合にも、輸送コストの削減ならびに患者の医療費の負担軽減につながることが期待される。更に、患者自身の健常眼から採取した幹細胞を用いることにより、生体適合性が高まるとともに、術後の拒絶反応を抑制することも可能となる。幹細胞を移植する方法では、通常の培養細胞よりも細胞の形態が良好で、かつ移植後の幹細胞の自己
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