研究課題
これまでの研究で、我々はAPC/Cの活性を抑制するEmilが癌細胞株や頭頸部癌症例で、高頻度に強い発現を示すことを見出し、その過剰発現にEmilの分解異常が関与することを明らかにした。さらに、ERK-RSK経路によるEmilのSer310およびThr315のリン酸化が、ユビキチン分解を阻害することを見いだした。とくに、RSK2がEmilのSer310およびThr315のリン酸化し、RSk2のknockdownがG2期でのEmilのタンパクの安定性に関わることを明らかにした。今年度は、EmilのSer310およびThr315のリン酸化抗体を作製し、リン酸化のタイミングとEmilの安定性に関して検討したところ、G2期からM期の初期にリン酸化され、Emilのタンパク安定性とよく相関することを確認した。さらに、Ser310およびThr315をアスパラギン酸に変異させたリン酸化模倣型変異体では、野生型に比べてp53のknockoutした細胞で、増殖を促進させるとともに、軟寒天培地で多くのコロニーを形成したことから、Emilのタンパク安定化による過剰発現が発癌に関わることが明らかとなった。また、DNA損傷過程の初期で、Emilが安定化し、APC/Cの活性が抑制されることを見いだし、その際にSer310およびThr315がリン酸化されることも明らかにした。現在、本研究成果を論文としてまとめている最中である。
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Journal of Cell Science
巻: (印刷中)
Journal of Cell Biology
巻: 193 ページ: 409-424