研究概要 |
本年度は気管平滑筋細胞でのCa^<2+>シグナリング機構におけるGABA_A受容体の役割を中心に研究を行った。 1. bradykininがもたらす気管平滑筋の[Ca^<2+>]_i上昇はtransient phase, sustained phaseの2相性の反応を示すが;このうちtransient phaseにおける[Ca^<2+>]_i上昇はGABA及びGABA_A受容体作動薬(muscimol hydrobromide, THIP)により用量依存性に抑制された。またこの抑制はGABA_A受容体拮抗薬(Bicuculline methiodide)により解除された。 2. この抑制反応は(1)細胞外Ca^<2+>濃度をfreeにした場合、(2) 電位依存性Ca^<2+>チャネル遮断薬(verapamil)で前処置を行った場合には見られなくなった。すなわちこの抑制機構は細胞外Ca^<2+>の流入機構を抑制する結果生じるものであることが示唆された。 3. 気管平滑筋細胞を用い、GABA_A受容体作動薬投与時のIP_3生合成量について評価を行った。その結果、IP_3生合成量はGABA_A受容体作動薬投与の影響を受けなかった。すなわちGABA_A受容体を介した[Ca^<2+>]_i上昇の抑制は, IP_3生合成の低下によって生じるものではないことが示唆された。一方、GABAB受容体作動薬投与によりIP_3生合成量は増加した。 次年度は上記の結果を元に, さらに詳細なシグナリング機構の解明を行う予定である。
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