国際的な医療用語の標準化に対応するためには、国際医療用語集と日本語の概念にはどのような相違があるのか、そして、それは診療記録の電子データを分析する際にどの程度の影響があるのか、また、日本語にしか存在しない概念がどの程度あり、それを国際医療用語集の中でどのように取り扱うべきかなどを明らかにしなければならない。これらの議論を行うためには、実際に日本語と国際医療用語集との対応づけを行う必要がある。3年計画の初年度として、看護用語に関する日英の対訳データベースを作成した。 看護用語に関する日英の対訳データベースの作成は、具体的に(1)NANDA看護診断、(2)看護介入分類NIC、(3)看護成果分類NOC、(4)看護実践国際分類ICNPの日・英の対応表を作成した。(1)、(2)については、出版社と利用許諾の契約を行い、一部のデータについては書籍からテキストの入力を行った。(3)については利用申請を行い、電子データを入手した((1)日本語308頁、英語212頁、(2)日本語704頁、英語718頁、(3)日本語611頁、英語539頁)。これらの電子データを文単位で対応付けを行う必要があったが、一部、日英の翻訳の過程で生じた正誤などの確認を人手で行い、対訳の基礎データを作成した。その後、この基礎データを、文単位で登録した対訳データベースを作成した。現データベースでは、日英の検索が行える機能しか実装できていないが、今後、形態素に基づく頻度分析を行い、さらに次年度以降、他分野の医療用語に関する対訳データを追加する予定である。
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