研究概要 |
アルゴリズムの設計とその理論的な性能保証のため、計算機援用パラダイムの確立を目指す。数学的に厳密な証明として性能保証を行うには、有限の資源しか持たない計算機上で数値の無限性を扱う一般的手法の開発が必要である。また、近年のアルゴリズム設計においては、従来からの主眼である「正確な計算を限られたメモリ量で速く」だけでなく、情報の不完全性をいかに扱うかが課題となっている。こうした要求に対応すべく、将来の入力が分からない状況下での時々刻々の最適化や、最適解との差を保証した近似最適化、確率モデルを導入した最適化といった観点からアルゴリズムを設計する必要がある。 本年度も昨年度に引き続き、計算機による膨大な数の列挙を利用した証明を中心に取り組んだ。まず、タイリングによる平面敷詰問題をテーマに、逆探索法を用いてタイリングの基本領域を生成するアルゴリズムを提案した。これは、昨年度に提案したp4タイリング(90度回転によるタイリング)を拡張し、また新たな種類の生成ルールを導入することで、p6タイリング(60度回転によるタイリング)を生成している。計算機実験により、p4タイリングでは単位正方形のセル数18で90,652種類の、p6タイリングでは単位正三角形のセル数21で27,528種類の基本図形の生成に成功した。また、非冗長プリミティブ整列回路網の列挙に二分決定グラフ(BDD)を利用する手法を提案した。非冗長プリミティブ整列回路網は置換群の変換と対応関係があり、より大きなサイズの回路網の列挙が必要である。
|