アルゴリズムの設計とその理論的な性能保証のため、計機援用パラダイムの確立を目指す。数学的に厳密な証明として性能保証を行うには、有限の資源しか持たない計算機上で数値の無限性を扱う一般的手法の開発が必要である。また、近年のアルゴリズム設計においては、従来からの主眼である「正確な計算を限られたメモリ量で速く」だけでなく、情報の不完全性をいかに扱うかが課題となっている。こうした要求に対応すべく、将来の入力が分からない状況下での時々刻々の最適化や、最適解との差を保証した近似最適化、確率モデルを導入した最適化といった観点からアルゴリズムを設計する必要がある。 本年度は、膨大な数の列挙による証明を中心に取り組んだ。まず、タイリングによる平面敷詰問題をテーマに、60度回転によるタイリング(p6タイリング)のための基本図形を、逆探索を用いて生成するアルゴリズムを設計した。これまでの90度回転の場合と同様の生成ルールの他に、p6タイリングのための新たなルールを利用することを提案した。また、オークションにおいて、競売人が不正を防止しつつ、同額の入札者の一部を落札者として決定するタイブレークを実施するためのプロトコルを提案した。対象は、第1価格オークション、Vickreyオークション、第(M+1)価格オークションである。
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