研究概要 |
次数制約付きネットワーク設計問題を一般化した重み付き次数制約付きネットワーク設計問題について, 昨年度得られた成果の研究発表を行った. 我々の研究成果が用いている, 線形計画問題の繰り返し丸め法がどのような問題に適用できるかについて, 今後研究を進めていく予定である. また, 通常は2節点間に定義されている辺連結性を, 節点集合間に定義されるように拡張した節点集合間連結性について要求を持つグラフ向き付け問題を定式化した. 与えられたグラフが節点集合間において十分な連結性を持つならば, 要求を満たすようにグラフを向き付けすることが出来ることを示した. この結果は, 実際に向き付けを得るためのアルゴリズムを与えている. 節点集合間連結性の要求がどのような集合関数で定義できるかについて考察も行っている. 加えて, グラフのZ3連結性についての研究も行った. Z3連結性とは, グラフが3フロー(各辺の値が±1, ±2をとる巡回フロー)をもつための必要条件として知られている. 任意の4辺連結グラフが3フローを持っていると予想されているが, この予想はグラフ理論において「3フロー予想」と呼ばれる長年の未解決問題である. 本研究では, 4辺連結HHDフリーグラフと呼ばれるグラフがZ3連結であることを証明した. この証明は, そのグラフが含む可能性のある部分グラフのパターンを列挙することに基づいている. このアプローチは, Z3連結性を持つと予想されているが未だに証明されていない他のグラフクラスについても適用可能であると期待できる.
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