平成21年度は主に以下の2点を研究した。 1) Int構成の基本的性質本年度はJoyalらのInt構成の基本的な性質に関して幾つかの結果を得た。I)Int構成を与えているJoyalらの論文に誤りがある事を指摘し、その訂正案を報告した(数理解析研究所長谷川真人との共同研究)。II)Int構成がsemibiproductと呼ばれる、biproductよりも弱い構造を保つことを示した(数理解析研究所星野直彦との共同研究)。この事実を応用して、Haghverdiらが提唱している圏論的な相互作用の幾何を加法的結合子のある線形論理(multiplicative additive linear logic)に対して拡張した。 2) 圏論的属性文法への応用 構文的な属性文法である属性カップリングと、それらを合成する手法であるdescriptional compositionを、圏論の理論-モデル対応を用い関手とそれらの合成として表現する方法を与えた。従来descriptional compositionは複雑な構文的操作によって与えられ、合成の結合性も非自明な証明を要していたが、上述の圏論的表現によりそれらが簡潔で理論的に扱いやすい形に定式化された。
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