研究概要 |
本研究の目的は,メニーコア超並列クラスタに向けた高速フーリエ変換アルゴリズムを実現すると共に,現在利用可能なマルチコア超並列クラスタ上で性能評価を行うことにより,メニーコア超並列クラスタに適したアルゴリズム及び最適化手法を見出すことである。高速フーリエ変換(fast Fourier transform,以下FFT)は,科学技術計算において今日広く用いられているアルゴリズムである。近年,CPUのアーキテクチャは消費電力当たりの性能を向上させるために,マルチコア/メニーコア化が進んできている。今後ペタスケールコンピューティング環境としては,メニーコアCPUを数個~数十個搭載した計算ノードを数千~数万台接続するというメニーコア超並列クラスタが主流になることが予想される。したがって,メニーコア超並列クラスタにおける並列FFTアルゴリズムは,今後ペタスケールコンピューティング環境が使われる際に,科学技術計算の計算時間を短縮することができるものと期待できる。 平成21年度では,平成20年度に行った研究の継続として,並列一次元FFTアルゴリズムの並列多次元FFTアルゴリズムへの拡張を行った。さらに,並列多次元FFTをマルチコア並列クラスタで実行する際に,どのようなデータ分散および通信方法が望ましいかについて見当を行った。その結果,メニーコア超並列クラスタにおける並列三次元FFTでは,二次元方向に分割する方が通信時間の削減という観点からは優れていることが分かった。 また,平成21年度に行った研究成果を国際会議等で発表すると共に,それらの内容をまとめて学術雑誌等に論文を投稿する予定である。
|