研究概要 |
本研究の目的は, オープンソースソフトウェア(OSS)開発コミュニティにおける協調作業の成否に大きな影響を及ぼすコーディネーション(協調作業を円滑に行うための調整)行動を分析するための分析技術を開発することである. 具体的には, (1)コーディーネータ(コーディネーションに貢献する人物)の特定するためのデータ解析技術, (2)コーディネータがコミュニティ参加メンバを媒介する能力を数値化するための指標の開発, (3)コーディネータの媒介能力がOSS開発及びコミュニティへ与える影響の度合(生産性, 信頼性, コミュニティの持続的成長など)を数値化する分析技術及び分析ツールを開発することである. 本年度は特に, 複数のサブコミュニティを媒介するコーディネータを分析するための「コミュニティ媒介性指標」を構築した. コミュニティ媒介性指標は, コーディネータが複数のサブコミュニティを媒介する度合(媒介能力)を測定するための指標である。OSSコミュニティの典型的なネットワーク構造のパタンを想定した3種類の指標からなる. 分析指標の妥当性を確認するために, シミュレーションによる評価を行うとともに複数のOSSコミュニティのコミュニケーション履歴データを用いて提案指標の妥当性を評価した.
|