研究概要 |
複数の連携相手が含まれるサービス合成では, 実行前に個々の契約や様々な制約の間の整合性を保証するよう契約の選択方針を定める必要がある. また実行時には, サービスの選択・束縛や合成実行の機構と契約管理機構を適宜連携させる必要がある. 本研究では, サービス合成における整合性ある契約管理処理の方針設定・実行を容易とする枠組みの研究開発を行っている. 平成19年度の取り組みにおいては, 事前にサービス契約を検討する際の検証などの支援を考え, 形式的理論基盤およびそれに基づいたツールを構築した. 平成20年度の取り組みにおいてはこれらに加え, 実行時における連携相手の再選択・束縛にも対応することを想定し, 形式的理論基盤およびそれに基づいたツールの拡張を行った. 具体的には, これまでの取り組みにおいて構築した形式的理論基盤に加えて, 連携相手の再選択・束縛やサービス合成の実行に関する実行動作や要求・制約, 及びそれらの整合性についてもEvent Calculus上の語彙や公理としてモデル化, 形式化した. またこれまでの取り組みにおいて既存ツールDiscrete Event Calculus Reasonerをラッピングすることにより構築したツールに基づき, 連携相手の再選択・束縛の際に必要となる推論の種類を明確化し, それらの推論を行う方法を確立とするとともに, それらの推論を実行時に行うためのソフトウェア部品を整備した. このソフトウェア部品は, 実行時に1つの連携相手のみ再選択・束縛する場合にその契約の条件を導く場合等においても基盤として用いることができる.
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