研究課題
本研究では、仮想計算機(VM)の動的再配置を、遠隔拠点に対して透過的かつ効率的に実現することを目指している。VMの再配置によって、データセンタの負荷を拠点横断的に分散させることで、データセンタのサービス継続性を高め稼働効率を向上できる。今年度においては、第一に、昨年度提案したVMメモリの高速再配置技術の有効性を模擬的なデータセンタにおいて検証した。高速再配置技術を我々が開発するデータセンタ運用システムに統合し、実際のデータセンタを模したクラスタにおいて評価実験を行った。その結果、高速再配置技術は、データセンタの負荷変動に対応してVMの稼働場所を迅速に最適化できた。急激な負荷上昇時において、旧来型の再配置技術よりも性能低下をおよそ半減できることが確認できた。第二に、一昨年度提案したVMディスクの高速再配置技術を改良して、WAN環境における信頼性を高めた。ディスクの再配置中に通信が途切れた場合においても、再度通信を確立し直して再配置を継続できる。第三に、VMが遠隔拠点に移動した際にもVMに対する通信を継続するため、IPパケットのトンネリング機構を設計した。IPv6/IPv4トンネリング(TEREDO)を応用して、VMがNAT環境に移動した場合であっても通信を継続できる。国内外の会議や論文誌において研究発表を行った。特に、国際会議CCGrid2010において、高速再配置技術を利用したデータセンタ運用技術が最優秀デモンストレーション賞を獲得した。
すべて 2010
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (8件)
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