当該年度は主に、(1)C言語によるシミュレータの作成、(2)シミュレーションによる大規模データアプリケーションに対する性能・電力の予備評価、および(3)ハードウェア記述言語による演算モジュール、圧縮回路、およびメモリコントローラの基本設計を行った。C言語によるシミュレータは、様々な用途の計算機環境を想定して、基本命令セットとしてSBARCアーキテクチャ、ARMアーキテクチャ、MIPSおよびAlphaの4種類を実行可能としている。また、実際のプログラムのメモリアクセスの振舞いと実行速度・電力を評価することを目的とすることから、アプリケーションプログラムのバイナリを入力とし、CPU内命令実行とメモリ/キャッシュアクセスおよびメモリコントローラ内の動作をクロックベースで詳細にシミュレーションするものである。フィルター演算アプリケーションや、SPECベンチマークのプログラム集を用いた予備評価により、様々なアプリケーションに対して実際に性能的に有用な演算モジュールと、電力的に有用な命令セットと圧縮アルゴリズムの選定を行った。また、演算モジュールと圧縮回路について、ハードウェア記述言語によつて回路記述を行った。設計した回路に対して論理合成を行うことにより、回路の動作速度およびハードウェア量の評価を行った。この際、シミュレーションによって選定された圧縮率の高い圧縮アルゴリズムが、他の圧縮アルゴリズムよりも小規模の回路として実現可能であることがわかった。
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