1. 不安定な電力供給源でも安定して動作する高信頼コンピュータアーキテクチャの研究 SRAMの電源電圧や書き込み電圧とスタティックノイズマージン(SNM)の関係をシミュレーションにより明らかにした。また、SRAMセルの電源電圧とソフトエラー耐性との関係についても研究した。SNMと消費電力の関係に関する研究成果は情報処理学会の英文論文誌で発表した。 2. 性能と消費電力を広い範囲で変更することのできるスケーラブルアーキテクチャの研究 東京大学VDECを利用してスケーラブルアーキテクチャの一部の機能を搭載したチップを試作した。シミュレーションによる実験により試作チップの消費エネルギーと性能を評価した。消費電力を1/3倍まで動的にスケールできることをシミュレーションにより確認した。消費電力の動的スケーリング(変更)は約1μ秒で行うことができ、既存手法に比べて2桁の高速化を実現した。本成果は、米国での招待講演および韓国釜山で開催された国際会議で発表した。また、アプリケーションに応じてメモリ参照の局所性を効率よく利用し省電力化するキャッシュアーキテクチャを開発し、情報処理学会の英文論文誌で発表した。さらにレジスタ回路の消費電力を50%以上削減する技術を開発し、国内シンポジウムと国際会議で発表した。 3. 決められたエネルギーを計画的に使用するための電力見積もり技術と電力管理技術の研究 携帯無線端末で動作するアプリケーションの消費エネルギーをOSから観測できる少数のパラメータを用いて見積もる手法を開発し、実測と比較して5%未満の誤差でアプリケーションプログラムの消費エネルギー見積もりが可能であることを確認した。研究成果は国際会議で発表した。
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