今年度は4つの研究目標に対して、それぞれ以下のような研究を行った。 (1) 秘密情報の安全性の定量化と安全性を阻害する要因の明確化 秘密情報が搭載されるLSIにおいて、安全性を定量的に測定するために、相互情報量を用いた尺度を提案した。その尺度に基づいて、安全性を阻害する要因を定量的に評価した。 また秘密情報が搭載されるLSIにおいて、安全性を担保する回路のアーキテクチャを抽出し、まずアーキテクチャのどの構成要素が秘密情報の秘匿に貢献しているかの解析および評価を行った。具体的には共通鍵方式の標準的な暗号回路であるRSAを例にとって解析と評価を行った。 (2) 製造検査容易性を推定および計測技術の確立 秘密情報を保持するために、1) で検討したアーキテクチャの当該部分をノンスキャン設計とした回路に対しての製造検査容易性に対する評価を行った。具体的には、順序回路故障シミュレータを用いて、検査用のパタンを入力し、評価指標のひとつである故障検出率を求めた。また機能とは別に製造テストのみに用いるテストポイント挿入技術を用いて、秘密保持性を維持しつつ、検査容易性を向上させる技術を提案し、評価を行った。 (3) 検査系列自動生成技術開発 可制御性と可観測性がないノンスキャンの回路に対する検査系列自動生成技術の検討を行った。そこでは機能的時間展開モデルを用いて、検査系列の生成を行った.また検査系列の生成の難易度が変化するかの評価を行った。
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