研究概要 |
本研究の目的は, 次世代の電子システムの基盤技術として, 「診断」, 「検出」, 「治療」, 「回復」で構成する予防機能を指向した高信頼・無故障LSIシステムを開発することである。これにより, 自己診断, 回路の故障・欠陥の検出, システムの再構成による治療, そして自律回復が可能となり, 電子システムの信頼性が飛躍的に向上する。本年度の研究実績の概要として, まず「診断」に関しては, 実施計画にある故障原因推論システムの要素技術として重要な信頼性に関する研究を行った。次に「検出」に関しては, 実施計画にある故障箇所特定アルゴリズムの要素技術として重要な熱による影響を考慮した故障モデルの研究を行った。そして, 「治療」に関しては, 当初計画していた進化的手法による自己再生・最適化アルゴリズムに関する研究だけでなく, 群知能と呼ばれるアルゴリズムの自己再生・最適化アルゴリズムへの適用・応用方法を研究し, 評価実験によってその有効性を検証した。また, 「回復」に関しては, 当初計画していた一般的なルックアップテーブル型のFPGAによる自律適応システムに関する要素技術の検討だけでなく, 独自のプログラマブルデバイスのアーキテクチャを開発し, 評価実験によりその有効性を確認した。このように, 4つのサブテーマの研究実績を通して, 予防機能を指向した高信頼・無故障LSIの基本システムの見通しを得た。
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