研究概要 |
本研究の目的は,次世代の電子システムの基盤技術として,「診断」,「検出」,「治療」,「回復」で構成する予防機能を指向した高信頼・無故障LSIシステムを開発することである。これにより,自己診断,回路の故障・欠陥の検出,システムの再構成による治療,そして自律回復が可能となり,電子システムの信頼性が飛躍的に向上する。本年度の研究実績の概要として,まず「診断」に関しては,実施計画にある故障原因推論システムの要素技術として昨年度と同様に信頼性,特に経年劣化に関する検討を行った。次に「検出」に関しては,実施計画にある故障箇所特定アルゴリズムの要素技術として重要であり,昨年度から取り組んでいる熱による影響を考慮した故障モデルの研究を引き続き行った。そして,「治療」に関しては,昨年度の研究で,当初予定していた最適化アルゴリズムと同等以上の性能を達成する群知能をベースとした自己再生・最適化アルゴリズムについて,さらに多くの適用・応用方法について研究を行った。また,「回復」に関しては,自律適応システムのベースとなる昨年度に検討をした独自のプログラマブルデバイスに論理をマッピングするための独自のCADシステムのプロトタイプを完成させ,評価実験を通し,その有効性を検証した。以上のように,当初予定した研究実施項目について,各サブテーマとも申請研究期間内で全てを完了させることが出来なった。しかしながら,2年間の研究機関を通して,数多くの新しい知見を得ることができた。また,研究結果を関連する国内・国際学会で発表をし,参加者とディスカッションを行ったことで,さらに,研究を発展させることが出来た。このような機会を与えて頂き深く感謝する。
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