本研究では、無線アドホックネットワークにおける性能向上に焦点をあて、通信効率が高く安定した通信環境を提供するメディアアクセス機能の実現することを目的としている。特に、無線通信の干渉を軽減するメディアアクセス機能におけるチャネル予約通信方式の仕組みに注目し、無線アドホックネットワークにおけるチャネル利用率を一層向上させることを目指している。 本年度は、通信効率が高く安定した通信環境を提供するメディアアクセス機能を実現するため、昨年度から試作・検討してきたメディアアクセスプロトコルのチャネル予約方式、フレーム結合方式のプロトタイプに対して性能評価を行い、パラメータのチューニングを実施するとともに、プロトタイプの機能改善を繰り返し行いながら、提案手法の仕組みを用いた際の改善効果や問題点などを明らかにした。さらに、本成果を基にして、フレーム結合方式に対しては、フレーム結合方式を自律的に制御する仕組みをプロトタイプとして実装し、その性能評価を行った。また、チャネル予約方式とフレーム結合方式が相補的に機能するための仕組みについてもプロトタイプを実装し、その性能評価を行った。移動モデル、トラフィックパターン、ルーティングプロトコルなどの多角的な側面から総合評価を行い、パラメータのチューニング、制御方式の改善・拡張を繰り返し行うことで、通信効率が高く安定した通信環境を提供するメディアアクセス機能を改善した。
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