研究概要 |
多数のセンサノードが散布されたデータ収集型無線センサネットワーク(WSN)において,必要最小限のノードを稼働させ,残りをスリープさせることで,WSNのk重被覆時間を最大化する手法を提案した.本手法を実現するため,k重被覆時間を最大化する,各時刻のノードの動作モード(センシングやスリープなど)およびマルチホップ通信経路を決定する問題を定式化した.本問題は典型的な組み合わせ最適化問題であり,短時間で最適解を算出するのは困難であるため,ヒューリスティックとして,フィールドを1重被覆するノードの集合(レイヤ)を複数求め,稼働させるk個のレイヤを選択する方法を提案する.シミュレーションの結果,提案手法は既存手法よりもノードが故障したときの平均被覆数が約1.03倍多くなる一方,k重被覆時間の減少は約5%にとどまることが確認できた. また,水面を移動可能なアンカノードを用いて水中センサネットワークの全てのセンサノードの位置を低コストで推定する三辺測量に基づいた方法を提案した.提案手法では,コスト最適な水面上の測距点の集合を求めるため,各センサノードにつきアフィン独立な3つの測距点をランダムに配置し,全測距点を巡回する最短経路をLin Kernighan法により求める.シミュレーション実験の結果,提案手法は,一般的な方法より約30%少ないコストで平均誤差約130mでノードの位置を推定できた.
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