平成20年度は、車車間通信を用いた危険通知システムについて以下の研究を行った。 まず車両に搭載された指向性無線アンテナを用いて、歩行者の位置を推定する手法を考案した。ここで、歩行者は携帯電話のような何らかの電波発生源を持っているとし、また、車載する指向性アンテナには測定誤差があると仮定した。一度の測定結果からは歩行者の正確な位置や挙動を推定することは難しい。そこで、測定結果の時系列情報に対してベイズ推定を行うことで、歩行者の位置、および、移動経路の推定誤差を一度だけの推定誤差の5分の1程度に抑えられることを確認した。次に、歩行者を検知する状況として交通事故死者数が最も多く発生する都市部の交差点を想定した。ここで、交差点内の各車両は無線通信システムを搭載しており、それにより歩行者の推定位置情報を交換できるとし、他車が推定した歩行者位置情報と自車が測定した歩行者位置を用いて、より高精度に歩行者位置を推定するための手法を考案した。また、通信シミュレータにより、走行する車両が歩行者をアンテナで検知可能になったときから歩行者に到達するまでに、他車から推定に十分な量の情報を送受信できることを確認した。 評価用テストベッドの開発では、市販の車輪付きロボットに対して、そのロボットに小型PCを搭載し、単独の電源で、そのロボットおよびPCが自律的に動作できるプロトタイプを作成した。また、小型PCにはLinuxとJavaを導入し、そのPCからロボットの簡単な制御が行えることを確認した。
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