研究概要 |
本年度は,対面コミュニケーションの効果を高める支援システムにとって有用と考えられる携帯端末利用技術に関して,次の三つを明らかにした.1.携帯端末に内蔵可能な小型の加速度センサを用いて,端末利用者の行動を認識する際に,事前学習することなく行動が変化した時刻を推定する方法を提案した,提案手法は,DTW(dynamic time warping)法を用いて,1秒程度の加速度データとその前後の加速度データを比較することで,時系列データ間の類似度を求め,類似度が急激に変化する時刻を行動の変化時刻と推定する.複数の被験者による実験で推定時刻の適合率と再現率を求め,有用性を確認した.2.携帯端末間で無線LANを用いてマルチホップ通信する際には,経路制御のために帯域を消費する.経路制御プロトコルのひとつであるOLSRに,帯域消費量を抑える余地があることを明らかにした.経路制御プロトコル自体は変更しなくとも,各ノードが経路制御に関与する近傍ノードを選択する箇所を変更することで,経路制御のための帯域消費量を削減しうることを示し,シミュレーションによって削減余地の量を示した.3.無線LANを用いたロケーションセンシングを高精度化する技術を二つ提案した.(1)大まかな位置の推定を広域で行った後,狭い範囲で詳細に推定するハイブリッド位置推定方法を提案した.屋内実験で評価し,平均誤差を2.4mまで改善できることを示した.(2)ロケーションセンシングに用いる無線LANデバイスは,製品や固体ごとにそれぞれ特性が異なる.この違いの適応するロケーションセンシング手法を提案した.提案手法の有効性を屋内実験により確認した.
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