P2Pネットワークは利便性・匿名性に優れたコンピュータネットワークであるが、通信の信頼性に乏しいという問題がある。そこで、本研究では、サーバを必要としない分散型認証手法を研究することにより、利便性・匿名性・スケーラビリティに優れたセキュアなP2Pネットワークの実現を目指す。 平成20年度までに、サーバなどの永続的な通信ノードを必要としない分散型認証手法HDAM(Hash-based Distributed Authentication Method)の基礎を確立した。平成20年度の研究成果に基づき、平成21年度はユビキタス環境における認証プラットフォームである分散型公開鍵認証基盤HDPKI(Hash-based Distributed Public Key Infrastructure)の設計と、HDPKIの性能評価を行った。HDPKIは、HDAMの技術を効果的に利用することにより、匿名性・利便性・スケーラビリティに優れた公開鍵の分散管理を実現する。また、HDPKIでは、マルチパスメカニズムを導入することにより、公開鍵管理の信頼性の向上を実現した。さらに、シミュレータを用いた性能評価により、HDPKIが従来手法よりスケーラビリティに優れた手法であることを確認した、マルチパスメカニズムを導入したことにより信頼性の向上を実現していることを確認した。 以上より、永続的なサーバを必要としない認証プラットフォームであるHDPKIの設計と開発に成功した。平成21年度には、これらの成果として、国際会議発表1回・国内研究会発表1回・国内でのデモ展示1回を行った。
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