近年のインターネットの普及と3DCG技術の進歩により、仮想空間に存在する3D形状データは膨大な数にのぼるようになった。それらはディスプレイに表示することを主な目的としているが、これをものづくりに活用できれば、既存のデータの有効活用を図ることができると考えられる。しかし、元のデータそのままでは実世界で使用できるものにできない場合が多い。そこで、本研究では3DCGデータを、実際にものとして実現できる形状データへ変換する処理を、プログラムで実現するための研究を行っている。本年は、インターネット上に存在する3Dデータの収集および、市販されているデータライブラリなどから3Dデータを読み込み、処理するための基本機能の開発を行った。また、読み込んだ3Dデータを位相情報を持たない三角形の集合として扱うこととし、それらを元に3次元ボクセルデータに変換する機能を実装した。形状データを一度ボクセルデータに変換することで、微小な凹凸、穴や隙間を除去することが容易になる。ボクセルデータの妥当な処理工程は、まだ研究開発段階であるが、大規模では無いデータに対して、微小な凹凸、および面と面の交差などの問題を解消できることを確認した。今後は、このようにして形状修正を施したボクセルデータを、実際にものづくりが可能な形式のデータに変換する必要がある。最初の試みとして、紙や板などの素材で作ることを想定した、ポリゴンモデルへの変換機能の実装に着手した。
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