研究概要 |
スキーマとそれに関して妥当なXMLデータが蓄積・管理されている状況を考える.スキーマが更新された場合,XMLデータは通常妥当でなくなる.したがって,スキーマの更新に応じてXMLデータを妥当なものに変換する必要がある.しかし,このような変換をすべて手作業で行うのは現実的でない.ここで,スキーマに適用される編集操作列は,適切な変換を行う上での有力な手がかりと考えられる.そこで,本研究では,スキーマに適用される編集操作列からXML変換アルゴリズムを推測する問題について考察し,以下の結果を得ている. 1.DTDとそれに適用される編集操作列から推測される多項式時間XMI変換アルゴリズムを構成した. 2.上記アルゴリズムが曖昧か否か(XML変換が一意に決まるか否か)を決定する問題がPSPACE困難であることを示した. 3.DTDに適用される編集操作列とXMLデータに対して,そのXMLデータに対する最適な(元のXMLデータの構造が最も保存される)編集操作列を求める問題がNP困難であることを示した 4.編集操作列の長さを1に限定した場合における,K最適編集操作列(コストが小さいものから順にK個の編集操作列)を求める擬多項式時間アルゴリズムを構成した 当該年度では,上記のうち,1.および4.のアルゴリズムに関して,計算機上への実装作業を行った.これらの実装は,今後予定しているアルゴリズムの評価実験に用いるためのものである.
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