研究概要 |
本研究の目的は,情報の偏りを補正し,詳しくかつバランスよく情報を提供するシステム"情報栄養士"を実現するための基盤技術の確立である.そのため,平成22年度では,前年度の研究成果を踏まえて,情報の偏りを検知して補正するための情報の分析技術および体系化・知識化技術について研究開発を行った. (1)エンティティマイニングに基づくコンテンツ比較手法とその応用の研究開発:具体的に,エンティティ間の利害関係を抽出してコンテンツの差異を発見する手法とそのニュース分析への応用システムを開発した.また,エンティティに対する記述を主観と客観に分類し,記述極性を求める手法を開発した.さらに,エンティティに対する記述極性の傾向から発信者の特徴を求め,発信者の特徴からのニュース推薦システムを開発して,提案手法の有効性を確認した. (2)因果関係ネットワーク構築手法の研究開発:事象間の関係を分析するために,ニュース記事の特徴を考慮した因果関係の抽出手法を開発した.また,概念を考慮した事象の同一性判定手法を開発し,因果関係ネットワークを時系列に増分構築して体系化する手法の改良を行った.提案手法は,従来手法と比べて,因果関係の抽出の精度・再現率の向上およびネットワークの構築効率の向上を確認できた. (3)UGCを対象とした情報検索・推薦手法に関する研究開発:大量に新規作成されるUGC (User Generated Contents)を,ユーザの体験を単位とした組織化・検索手法を開発した.また,新規性の高いコンテンツを概念の組合せの珍しさから判別してユーザに推薦手法についても研究開発している. 以上について,英文論文誌論文2本,国際会議論文5本(査読付き),国内会議論文(査読付き)2本と国内研究会論文3本の成果をあげた.また,その成果が国際会議にて高く評価され,国際論文誌の推薦を受けて,現在投稿中である.
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