研究概要 |
まず, 主要な研究目的の1つである「映像中の多種多様なイベントを検索可能にする」点に関しては, 申請書に記載した「部分空間クラスタリング手法」を「ラフ集合理論」に拡張して, 検索性能以外の面では, ほぼ達成できたと言える.具体的には, ユーザから与えられた数個のイベントの例から, ラフ集合理論を用いて, イベント検索のためのパターン(モデル)を動的に生成する機構を開発した.これにより, どのようなイベントでも, 数個の例さえあれば検索可能である.実験では, 約120GBの映像アーカイブを対象として, 「植物を背景に人が映っている」や「人がドアを開けている」といった, 一般的なイベントから特殊なイベントにわたる合計24種類のイベントを検索し性能評価を行った.この結果は, 世界的な映像検索コンテストであるTREC Video Retrieval Evaluation(TRECVID)2008で発表した.今後は, もう1つの主要な研究目的である「イベントオントロジーの構築」によって, 検索性能の向上を図る予定である. また, 異常な映像編集パターン(バースト)が使用されている映像区間を, 印象的な「トピック」として検索する手法を開発した.具体的には, 登場人物のアクションが時間長の非常に短いショットに細かく区切られている, もしくは時間長の非常に長いショットを用いてじっくり映されている映像区間をトピックとしている.この手法は, The 2-nd Intemational Conference on Mulitimedia and Ubiquitous Engineering(MUE2008)で発表した.さらに, この会議のSelected Paperに選出され, 学術誌International Journal of Hybrid Infbrmation Technology(IJHIT)に掲載されている.
|