研究概要 |
本研究では,(1)状況適応的な異種検索領域を伴った計量空間の構築方式,(2)WWW閲覧環境における情報嗜好プロファイリング方式,(3)計量空間最適化のためのフィードバック方式,(4)モバイル環境における状況適応的な情報獲得方式を実現するための方法論を提案し,本研究課題である「利用者の現在の状況に応じた状況適応的・即応的な情報配信を行うモバイル・データベース」の実現を行った.国内・国際会議において,これらの研究成果に関する論文・学会発表を行い,さらに国内・国外特許の出願・取得を行った. (1)の計量空間構築方式は,異なる検索領域を伴った複数の計量ベクトル空間を動的に構築することにより,個々の利用者の意図や関心に応じた情報獲得を可能とする点を特徴とする.(2)の情報嗜好プロファイリング方式は,個々の利用者への情報推薦を行うために,利用者のWeb閲覧行動に基づいて獲得される嗜好情報をシソーラス形式で構築する方式である.(3)は,データベース利用者の嗜好に応じてデータベース検索性能を改善するための,検索計量空間の定量的評価および最適化を実現する方式である.さらに(4)では,(1)の状況適応的な計量空間構築方式を適用することにより,モバイル環境における携帯端末で利用可能なデジタル地図インターフェースを備えた情報獲得システムの実現方式を示した. (1)~(4)の各方式は,本研究で実現したモバイル・データベースにおいて,(A)個々の利用者に対する状況適応的な情報配信機能(方式(1)~(3)),(B)フィードバック学習による検索意図の抽出機能(方式(2)~(3)),(C)利用者の位置情報に基づく情報配信機能(方式(4))等の機能群を実現するものであり,プロトタイプシステムを用いた評価実験により,本研究で実現したモバイル・データベースの実現可能性および有効性を確認することができた.
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