本研究では、遠隔協調作業において複数人の現場作業者間で情報の共有・伝達の齟齬の発生をできるだけ少なくする作業者向けの出力インタフェースを設計・提案し評価することを最終目標としている。さらに、装着者の多量の明示的な入力を必要としない、装着者の行動や状況に基づいて暗黙のうちに入力可能な遠隔協調作業向けウェアラブル入力インタフェースを設計・提案し評価する。 平成21年度は、複数人の現場作業者間で情報の共有・伝達の齟齬の発生をできるだけ少なくする作業者向けのレーザの光路を可視化したレーザープロジェクタと魚眼カメラによる遠隔協調作業端末を評価した。この評価の目的は、指示者側からレーザの着光点は見えるものの、物体やデバイスの配置によってはレーザスポットが他の物体や指示対象物体そのものの陰に隠れて作業者側から見えなくなる問題があり、それを解決するためにレーザの光路を可視化し志向表現を持たせて作業者に提示することで指し棒と似た効果の3次元方向指示の有効性を検証した。実験の結果、作業場所の同定、作業物体の選定において複数人の作業者間での共有意識や認識を著しく効果的に構築することが可能になることが確認された。 本年度はこの遠隔協調作業用端末をさらなるユーザビリティテストによって、作業全体の効率化における役割を、観察的評価を用いで確認し、さらに作業者の行動や状況を解析することでそれに合わせた作業情報を掲示するシステムを構築し評価した。またこの結果を国際学会で数件の発表を行った。そのなかの、ICAT2010(International Conference on Artificial Reality and Telexistence)にて、Best Paper Awardを受賞した。
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