本研究は、平成20年度において、PointSpeechシステムの実装とその評価を行った。PointSpeechはさまざまなイメージセンサ(眼球を含む)に取り付けることで動作する実世界ポインティングデバイスの一種である. PointSpeechは、実世界に設置された光信号を発するタグを、「指さす」ことで選択することが出来る。このタグからは音声を光信号の形で発せられている。ユーザがタグを指さすと、光信号が受信され、この光信号をスピーカに入力することで音声が聞こえてくる仕組みである。 本研究では、タグに狙いを付ける際に使用するイメージセンサとして、眼球と携帯電話のCCDの2種類を便用して性能評価を行った。タグに指をかざした際に光信号が受信できる領域を、視角で測定した。その結果、距離2-3メートルの場所にあるタグを視角にして2-3°で識別することができ、音声信号を受信することができた。また、2つのシステムでほぼ同じ結果を得ることができることも確認された. PointSpeechは光信号を利用した光空間通信装置の構造をとるが、実際の性能から考えると、2次元コードなどのビジュアルタグと比べて遜色の無い空間分解能を実現されたことが確認された。それに加え、データの変調周波数として10MHzを超えるボーレートの信号を送受信することが出来ることも確認された. PointSpeechの意義は、ユーザの視野を用いて実世界ポインティングを行うことが可能である点に加えて、ポインティングシステム、データ転送システムと考えても高精度、高速度な性能を持つことが実証された。
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