研究課題
本研究では、指差すことによって情報支援を得ることのできる、VisionCommunicatorシステムの開発を申請した。VisionCommunicatorシステム(VC)は光通信システムを応用した情報配信システムで、複数の光信号を発するタグのうちの一つを指差すと、そのタグから送られている信号を受信する機能があることが特徴である。この特徴は、本研究で新規的に提案された光信号の変調方式によるものである。本予算では、VCを利用して、ユーザがタグを指差すと音声支援を得ることが出来る情報支援システムの構築を目指し、アプリケーションシステムの構成と、1.ポインティング精度2.ユーザビリティ3.通信の品質を計測・評価すること目標とした。本予算の成果として、アプリケーションシステムの構成に成功し、1.~3.の各項目について成果を得ることができた。1.2.および3.の一部のデータを用いて博士論文を執筆した。1. ポインティング精度は、VCおよび、類似の構造をもつRECシステムにおいて同一条件下でほぼ同じ精度を示すことが分かった。この結果は、同一受光器を使用すれば、どのような装置構成をしても同じような精度で使用できる事をしめし、本方式の高い堅牢さを示すものである。選択精度は実用的な範囲で視角2→3°の範囲に収まることがわかった。この精度は理論値とほぼ同じ節囲であった。また、この視角はポイントの際の人差し指の視角の2-3倍に相当し、「指しやすさ」という点から評価するとほぼ十分な値であることがわかった。2. 指の先端をタグに重ねる動作(テレクリック)は普通の指差しに似ているが、厳密には異なる動作である。両者のポインティングに要する時間と、VCにおけるディスプレイ越しのポインティング時間を比較し、また比較対象としてレーザポインタによるポインティング時間を測定した。この結果、最も早いポインティング方法はレーザポインタによるポインティングで、テレクリックと自然な指差しはそれよりも若干遅く、どちらもほぼ同じ時間で指差していることが分かり、ディスプレイ越しの場合はその約1.5倍の時間がかかることが分かった。3. 本予算ではPWM信号での音声の通信を行い、音声周波数帯では人間が十分に識別可能な品質での情報転送が可能であることがわかった。現在は、より高速な周波数帯を用いた変調方式による情報転送や、デジタル通信によるBERの測定作業に入っている。
すべて 2009
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)
Virtual and Mixed Reality, LNCS 13th International Conference on Human-Computer interaction 5622
ページ: 70-79