研究概要 |
一般の調理者の多くは, 新しい料理に挑戦する際, 料理本などのレシピテキストを読むのが一般的であるが, テキストを読みながら包丁や火を扱うのは危険なため, レシピテキストに基づき調理法を音声で教示するシステムの構築を目指す. これを実現するには, レシピテキストをただ音声で読み上げればいいわけではなく, レシピテキストにおいて「1を2に混ぜてください」というように手順番号で示されている中間食材に対して, 「先ほど切った玉葱」や「玉葱と人参の混ざったもの」というように, どの中間食材を指しているか調理者が容易に判別できる呼称を与えなければならない. そこで本研究では, 調理者が中間食材をどのようなものと認識しているかを理解し, また調理者との間で共通の名前空間を確立することで, 中間食材の呼称を決定する機構の研究を行う. 本年度は, 京都大学学術情報メディアセンター美濃研究室において, マルチメディアデバイスにより調理行動を認識して支援を行うシステム"Smart Kitchen Project"の研究開発に協力し, その中で本研究を施行した. この成果は, 研究協力者によりIPMU08で発表された. また, 一般の調理者が中間食材をどう呼ぶか, どう呼べば判別できるかを調べるため, 自動応答システムを人間が演じるWizard of OZ方式により, 料理を教示するシステムと, それを聞きながら調理する調理者との間のやり取りを調査した. これにより, 中間食材は『直前の加工名』『構成材料名』『料理名』のほか, 『器』『位置』『よく使われる中間物名(生地・タネ・出汁等)』などが組合さった呼び方がなされ, よってキッチンの状況をリアルタイムに認識することで呼称の自由度が向上することが示された. この成果は来年度に報告の予定である. また申請者は電子情報通信学会料理メディア研究会の幹事を務めており, 同学会誌の小特集や学術論文の特集号の企画ととりまとめ, 国内外の学会でのスペシャルセッション企画などを通じて, 調理を対称とする情報処理技術を発展と広報に寄与した.
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