研究概要 |
一般の調理者の多くは,新しい料理に挑戦する際,料理本などのレシピテキストを読むのが一般的であるが,テキストを読みながら包丁や火を扱うのは危険なため,レシピテキストに基づき調理法を音声で教示するシステムの構築を目指す.これを実現するには,レシピテキストをただ音声で読み上げればいいわけではなく,レシピテキストにおいて「1を2に混ぜてください」というように手順番号で示されている中間食材に対して,「先ほど切った玉葱」や「玉葱と人参の混ざったもの」というように,どの中間食材を指しているか調理者が容易に判別できる呼称を与えなければならない.そこで本研究では,調理者が中間食材をどのようなものと認識しているかを理解し,また調理者との間で共通の名前空間を確立することで,中間食材の呼称を決定する機構の研究を行う. 昨年度,カメラやマイクにより調理を観測し,その情報を逐次解析したり,音声対話により認識誤りを補正することで,各時刻に調理台上にどのような食材が存在するか,どのような加工を加えられているか,それは過去のどの物体と同一のものかを判別するシステムを実装した.この研究について研究発表の際,同分野の研究者より,オントロジー工学の視点を導入すべきとの指摘を得たため,研究期間を平成23年7月まで延長し,この実現方法の検討と実装を行った. 申請者は電子情報通信学会料理メディア研究会の副委員長を務めており,電子情報通信学会和文論文誌A「料理を取り巻く情報メディア技術」特集号の企画に携わった.また,国際ワークショップ2nd Workshop on Multimedia for Cooking and Eating Activities(CEA2011)を国際学会The IEEE International Symposium on Multimedia(ISM2011)内で開催する際のOrganizing Chairを務め,当該分野の広報に寄与した.
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