本研究は、非同期・蓄積型のグループウェアとして視線情報(ゲイズアウェアネス)の保存及び再生を実現する自由視点映像によるミーティングの知的アーカイビングシステムの研究開発である。本研究で想定しているカメラ配置のような多視点カメラにおけるカメラ間の距離や視線方向が異なる場合は、一般的に、自由視点映像の作成手法として3次元モデルを再構築、または予め用意した人体モデルなどを利用する方法が採用されることが多い。この場合、3次元モデルとなる前景領域と、それ以外の背景領域をセグメンテーションにより分割する必要があるが、ミーティングは屋内の非スタジオ環境においてなされるため、対象オブジェクトとなる参加者と背景のセグメンテーションが困難である。よって、このようなセグメンテーションをおこなうために領域を多クラスに分類するセグメンテーション手法におけるパラメータ調節をおこない、頑健なセグメンテーションを達成した。また、グラフカットとよばれるエネルギー最小化手法をセグメンテーションに応用する研究が多数報告されているので、これを実装し比較した。この結果、グラフカットの結果と多クラスを用いた結果に大きな差はなく、速度も多クラスのほうが高速であった。また、グラフカットでは、前景領域と背景領域を指定する必要があるため、本研究が対象としている動画には不向きであることがわかった。また、ビデオ会議システムで撮影した映像がユーザにどのような影響を与えるのかを意思決定問題をグループで解く様子を撮影した映像を被験者に閲覧させ、その後に意思決定の質を評価することでその特性を評価した。この結果、もともと被験者がなし得た意思決定の質の高低にかかわらず、映像を閲覧すると、その映像に映る議論に大きく影響される特性があることが判明した。また、少人数のミーティングではカメラワークはさほど影響しないことも判明した。
|