研究概要 |
本研究の目的は,遺伝子データ、XMLデータなどの具体的な構造データに適用できるカーネル関数を内包に基づくカーネルの考え方に基づいて設計、実験を行うことにより、この内包に基づくカーネルの考え方、手法の実データに対する有用性を明らかにすることである。 本年度は前年度までの申請者による内包カーネル関数に関する研究成果に基づき、RNA配列に対する内包カーネル関数に関して更なる拡張を試みている。更に新たな実データに対する内包カーネル関数の適用を試みている。具体的にはXMLのような木構造やWEBのリンクなどのグラフ構造やRNA配列に対しても違った定式化を行い、アルゴリズムの設計を行っている。この点に関してはまだ研究が不十分な点があり、畳み込みカーネルなどの他のカーネル関数の設計手法とも性能比較を行っているが、定性的な違いをそれほど明確には出せていない。これらの研究を通して部分構造だけではない構造データに対する特徴づけを提示し、構造データに対する新たなカーネル設計方針を提案しようと試みている。また、この研究成果を英語論文にまとめて雑誌に投稿中である。 更に、上記の研究と並行して、構造データの学習に対してのアプローチとして、木構造に適した圧縮を施すことにより頻出する木パターン発見の計算の高速化を行えることを示している。この圧縮では内包カーネル関数で重要な役割を果たす構造データを生成する文法を利用していて、内包カーネル関数の設計とも密接に関わる研究である。この研究に関して、雑誌に論文を投稿中である。
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