研究概要 |
今年度は、リフティングウェーブレット変換による人間の生体情報である顔画像および音声の個人特徴を抽出するための基礎研究を行い, 第二回ウェーブレット変換およびその応用に関するワークショップおよび第71回情報処理学会全国大会において研究発表を行った。特に音声の特徴抽出に関する研究では, リフティングウェーブレットによる信号データの暗号化理論の基礎研究を行い、自由パラメータの調整による認証精度の向上に関する知見を得た。リフティングウェーブレットは、調整可能な自由パラメータを持っており、本研究では、これを暗号化における鍵とみなす。 また、マルチメディアデータの検索に関する研究を遂行し、画像・動画像および3次元コンテンツの類似コンテンツを検索するシステムを構築した。本研究における画像コンテンツの特徴抽出はウェーブレット変換の統計量に基づいている。具体的には、画像を色に基づく領域分割を行い、領域毎のウェーブレット変換により得られた高周波成分に関する9種の統計量の類似性による新しい画像の類似度を提案した。本研究により、今後リフティングウェーブレットによる画像認証技術の開発へと応用するための知見を得た。本研究の成果は、2件の国際発表(MMM2009, CGIV2008)および5件の国内の研究会において研究発表を行った。 実証実験としては、携帯電話のカメラより取得した画像を質問画像とし、それに類似する画像をデータベースから検索するシステムを開発した。本研究の入力インターフェースにより、ユーザーが注視する領域を指定することが可能となった。
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