研究概要 |
本研究は,設計のための議論スキーム,その中でもトレードオフ関係に関するものを明らかにし,議論学的手法に基づく設計意図の表現と獲得を実現することを目的としている.本年度は,研究計画に従い,(1)設計意図管理システムの開発および(2)ユーザ評価に関して研究を進めた.また,これらの成果について学会発表1件をおこなった. (1)に関しては,現場の設計者をユーザと想定して,設計開発の過程で現れる設計事例についてその設計意図をデータベースに登録し,後に閲覧,検索するための設計意図管理システムのプロトタイプの開発をおこなった.今年度は,昨年度開発したプロトタイプシステムを改修し,現場で利用されている不具合管理システムとの連携機能を追加した.この連携機能の追加により,現場の開発プロセスに即した形で設計意図の獲得と利用が可能となった. (2)に関しては,昨年度に引き続き,超小型赤外線位置天文観測衛星Nano Jasmineの開発プロジェクトについて,人工衛星の基本機能を司るバス部の開発を担当する東京大学中須賀研究室の協力を得て,重要な意思決定が関わる設計事例の収集と分析をおこなった.今年度は,プロトタイプシステム上のユーザインタフェースで,実際の設計事例に関わる設計意図を記述し,現場の設計者とのインタビューを通して,記述内容の妥当性や,議論学的手法に基づく設計意図表現の有効性について評価し,その有効範囲を明らかにした.
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