研究概要 |
1. センシングマネキンの製作 市販の関節可動型模型を骨格として利用し, 指関節を腱を模したワイヤにより駆動することが可能なセンシングマネキンのプロトタイプを製作した. 腱にはモータが接続されており, モータのトルク計測機能を用いることで物体を把握したときの腱張力を計測することが可能である. 実験では20mm〜100mmの幅を持つシリンダをセンシングマネキンにより把持させ, 指の姿勢によってどのような腱張力が発生しているのかを調べた. 実験の結果, 60mm付近の物体を把持したときに腱張力の合計が最も小さくなる傾向を確認した. 2. 異なる幅のシリンダを把持したときの感性アンケート 20〜100[mm]の異なる幅をもつシリンダを被験者に把持してもらい, どの把持幅がもっとも持ちやすいと感じるかをアンケート評価した. 実験の結果, 重さによらず60mm付近の幅を最も持ちやすいと判断する傾向を確認した. またそのときの筋電値を計測したところ, 筋電積分値の合計が60mm付近のシリンダを把持したときに最も小さくなる傾向を確認した. 3. シミュレーションによる姿勢と腱張力の関係 簡単な指の腱骨格モデルを製作し, 指姿勢と腱張力の関係を考察した. 実験の結果, 60mm付近の幅の物体を把持したとき, 腱張力の合計値がもっとも小さく傾向を確認した. これはセンシングマネキンおよび感性アンケートの結果と一致しており, 腱張力が人の感じる持ちやすさを定量評価する指標として有効であることが示唆された.
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