研究概要 |
1. 拇指と示指の腱骨格モデルの構築 示指はMP関節2自由度,PIP関節1自由度,DIP関節1自由度の計4自由度,拇指はCM関節2自由度,MP関節2自由度,IP関節1自由度の計5自由度を持ち,人の生理学的知見を元に示指は7つ腱,拇指は9つの腱によって駆動されるとした. 2. 腱張力推定に基づく持ちやすさ評価指標の検討 指先力6自由度を示指7,拇指9の腱張力で制御するため,指先力から腱張力を決定する問題は不良設定問題となる.そこでCrowninshieldらの提案する筋力最適化計算の条件式を用いて腱張力を計算した.またこれまでの知見などから,計算された腱張力を用いて筋力の発揮割合の平均値が少ないほど人にとって持ちやすい姿勢であると考え,持ちやすさを定量的に示す指標を提案した. 3. シミュレーション結果とアンケート結果比較による指標妥当性の評価 20mmから100mmまでの円筒形物体を示指と拇指でつまむ動作を通じて,人の感じる主観的な持ちやすさの感覚と,提案手法によって出力される持ちやすさ定量化のスコア値の間に関連性について評価した.被験者の筋電計測とアンケート評価の結果,60mm付近が持ちやすい姿勢と人が感じることが明らかになったのに対し,シミュレーション実験により定量化指標も同様の結果を示したことから,提案手法の妥当性が示された. 4. センシングフィンガ試作機の設計・製作 指先力,関節トルクなどといった,定量化指標を求めるために必要となるセンサ情報を計測できる人間サイズのセンシングフィンガ試作機の設計および製作を行った.試作機は2本指により構成され,つまみ動作が可能な形状を持つ.センサを付加することにより力やトルク,指の姿勢を計測可能であり,実験の結果明らかになった定量化指標を算出するのに必要な情報をセンシング可能である.
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