研究概要 |
本研究では, 生物の嗅覚において行われている情報処理機能をモデル化し, それを匂いセンシングシステムの信号処理に役立てることを目指している。それにより, ベースラインのドリフトの補正や背景臭の影響抑制などが期待できる。今年度は以下の点を検討した。 1. 嗅覚順応モデルを利用した背景臭抑制信号処理の検討 : 本研究では, 嗅覚順応モデルを利用して背景臭の影響を抑制する信号処理手法を検討している。今年度は逐次最小二乗法を用いた手法をシミュレーションにより検討し, その有効性を示した。 2. 嗅覚神経回路モデルの回路実装 : これまでニューラルネットワークを用いた嗅覚順応モデルにより, 背景臭の影響を抑制できることを示してきたが, 今年度はFPGAを用いてそのモデルをディジタル回路に実装した。このような回路は匂いのリアルタイム計測に有効である。 3. 検証用水晶振動子匂いセンシングシステムの構築 : 提案する信号処理手法の有効性を検証するため, 匂いセンシングシステムの構築を行った。 4. 発振回路を用いた半導体ガスセンサの1ビットディジタル信号計測 : 信号処理手法の汎用性を検証するため, 半導体ガスセンサを用いた計測システムも検討した。特に, 発振回路を用いて1ビット信号として計測する手法を検討した。
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