研究概要 |
本研究ではロボットにおける雑音源を環境から来る外部雑音と, ロボット内部から発生するモータ, ギアなどの内部雑音に分け, それぞれの特徴に注目した雑音の処理系を提案する. 外部雑音はロボットの動きがあるため, マイクロホンとの位置関係は常に変化する. 一方, 内部雑音は必ずしも定常ではなく, また, 信号源との独立性・スパース性も仮定できないが,マイクロホンと信号源の相対的な位置関係は変わらない. 筆者はこの2つの雑音の特徴に注目し, 内部雑音の除去にピエゾ素子を用いることで内部雑音の除去を狙った. また, 提案する音響アレイで用いるピエゾ素子は接触により物体の振動を検知するため, 精密機械や硬度の低い物質など添付が困難な物体への適用が困難である. そこで, レーザー光の反射により, 物体の振動を検知するlaser listening deviceをピエゾ素子の代わりに用いることで, 非接触での内部雑音除去が可能となった. さらに, マイクロホンからの出力とピエゾ素子からの出力の利得比を取ることで,ブラインド状態で内部雑音除去を行うことが可能であることを示した. また, 筆者らの提案する時間周波数ε-フィルタやスペクトルサブトラクションなどの周波数軸上での処理で問題となるミュージカルノイズの除去を目指し, 擬似直交変換であるM変換を用いたミュージカルノイズ除去法を提案した. なお, 本研究課題に関連する成果として, 今年度は米国音響学会誌3編に加え, 査読付国際会議にて4件の発表を行い, その成果を広く社会に公開することができた.
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