研究課題
近年、紙や文書類は、画像情報コンテンツとしての重要性が増しており、その色や質感を忠実にデジタルアーカイブするための画像センシング技術の開発が求められている。本研究では、紙や文書の質感と密接な関係にある偏角分光反射特性を、直線照明光源、分光カメラ及び複眼光学系で構成されるフラットベッドスキャナ型の画像入力装置で測定することを想定し、光沢の度合いが異なる部位が混在した文書に対して、露出条件を空間的に適応的に設定することにより、高ダイナミックレンジな偏角反射画像を取得する方法について研究を行った。昨年度までに、測定ジオメトリの最適化による測定点数の減少について検討するとともに、正反射方向近傍のジオメトリでの放射輝度率から正反射方向の放射輝度率を推定する方法を提案した。本年度は、正反射方向近傍での偏角反射特性を取得する実験を行った。ガラス基板上にクロム蒸着された試料(1951USAFテストターゲット)からの鏡面反射光を、試料から焦点距離に位置する平凸シリンドリカルレンズ(f=100mm、サイズ10mm×20mm)で平行光化し、単焦点レンズ(f=105mm)を取り付けたデジタルカメラ(Nikon、D700)で画像撮影した。その結果、シリンドリカルレンズの短軸方向が反射角度変化に相当する画像が得られ、試料面の一次元方向における正反射方向近傍の約6゜の偏角反射特性が連続的に得られた。クロム蒸着部分とガラス部分の間には偏角特性の差異が認められ、光沢の度合いが異なる部位が混在する試料に対する提案手法の有効性を確認した。
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Optics Express
巻: Vol.19 ページ: 3353-3362
Journal of Imaging Science and Technology
巻: Vol.54 ページ: 060503-1-060503-11