研究概要 |
本課題では,多指ハンドにより物体をある閉領域に拘束する「ケージング」と呼ばれる手法について研究を行っている.ケージングにおいては,位置制御のみで物体を拘束しマニピュレーションを行うことができるので,ロボットの適用範囲を拡げるという点で大きな意味を持つ.本課題の特色は多指ハンドによる完全に三次元のケージングを対象に理論構築を行うところにある. 平成21年度は,物体をケージングするためのアーム・多指ハンド系の動作計画アルゴリズムを開発した.このアルゴリズムはRRT (Rapidly-exploring Random Trees)をベースにしたものであり,昨年度までに開発したハンドのみの動作計画アルゴリズムを拡張し,また計画を高速化するためのヒューリスティクスと組み合わせて構築した.このアルゴリズムを用いて,亜鈴状物体・リング状物体などをケージングするためのアーム・多指ハンド系の動作が自動生成できることを確認した.また,計画結果を実機システム上で実行し,実際にケージングが行えることを確認した. また,昨年度までに導出したケージング成立のための条件のうち,物体がハンドによる拘束領域の内部に入っているかどうかを判定するための条件をより厳密に導出し,上記計画アルゴリズムに適用した.そのほか,三次元多指ケージングの典型的な形態として「包み込みケージング」「リング型ケージング」「くびれ型ケージング」の三種類への分類を提案した.
|