研究概要 |
周囲360度の広い視野を有する全方位カメラは,ロボット用途をはじめ様々な分野で注目されている視覚センサである.本研究では,移動する全方位カメラを用いて得られる画像列のみから,観測シーンの3次元形状を計測・復元する手法を提案する.具体的には,1台の全方位カメラで取得した画像列を用いることで,普通のカメラを用いた場合と比較して,高精度かつ高速に観測シーンの3次元形状を計測する手法を構築することを目的とする. 今年度は,3次元計測精度の向上,及び形状復元手法の構築を行った. (1) 外れ値(間違い)を含むデータからの高精度な3次元計測 カメラの移動方向と平行な直線上にある特徴点は,誤追跡しやすい.また,環境中の特徴点の計測精度は,カメラの移動方向の延長線付近になるほど,あるいはカメラから離れたものほど原理的に悪くなる.そこで,前者の問題については画像中の全特徴点の動きの傾向と異なる動きの点を除去することで,後者についてはそれぞれの特徴点に発生しうる誤差の大きさを解析的に求めて誤差の大きな点を除去することで対応した. (2) 誤差に対してロバストな形状復元 特徴点を頂点とする三角パッチを構成し,撮影シーンを多面体として表現し,形状復元を行う手法を構築した.また,各三角パッチにテクスチャを貼り付けることで,テクスチャ付き3次元地図を生成した.具体的には,各特徴点の空間的な存在確率分布を求め,より精度が良さそうな点のみを用いて三角パッチを形成することで,データ量が少なく信頼性の高い形状復元を行った.また,カメラの撮像をアフィン変換で近似して,そのシーンを写した2画像を比較する方法を,全方位画像用に発展させ,物理的に矛盾する三角パッチを除去した.更に,場所に応じて最も高精細なテクスチャを各三角パッチに貼り付けることで,高精度な3次元地図を生成した.
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