研究概要 |
複雑な組立作業を実現するためには,作業状態を適切に認識し,それに応じて制御方策(手先のコンプライアンス)を上手く切り替えていく必要がある.本研究では,人の高度な組立技能をロボットに実現することを目標として,「作業状態を適切に表現するための作業特徴量の抽出」および「制御方策の切り替え条件のモデル化」の方法論の構築を行う. 本年度は,昨年度提案した,組立作業を実現するための基本的な作業戦略とそれに対応した対象物の基本構造を基に,作業状態を適切に表現・判断するための特徴量空間の検討を行った.対象物の構造は,対象物間の拘束やコンプライアンス(対象物間の柔らかさ)の配置で表現することとし,各構造に対して拘束を実現/解除する動作,抵抗にならう/抗する動作を基本として組立作業は実現されることとした.まずは対象作業について,そこで扱う対象物間の構造を表現し,その構造に基づいて大まかな作業戦略を構築する.対象作業を行った人の実演データ(手先位置・姿勢や反力)を解析し,その解析データと対象作業に対する作業戦略,作業中の対象物の構造状態の変化とを対応付けることで,特徴量空間の選定手法を検討した.また,ある特徴量空間において表現した実演データを作業戦略と対応付けて分割することで,制御方策の大まかな切り替え条件についても検討した.本年度は,対象物の構造やそれに基づく作業戦略を基に,特徴量空間ならび切り替え条件について検討していくつか候補案を挙げたので,来年度はそれらの検証・改良を行い,全体の方法論の構築を目指す.
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