研究課題
本研究は、介護場面において介護者を補助するロボットの知的能力を向上させ、より効率の良い作業支援を実現しようというものである。ロボットの知能化を推し進めることで、これまでその操作を担当していた複介護者の存在を不要にする技術を開発する。本年度においては、本研究のベースとなるロボットの知能を学習・評価するための典型的な介護作業において取り交わされる人間同士のコミュニケーションの収集、および、典型的な介護作業における複介護者によるロボット操作履歴の収集するための実験環境の整備のために、介護ロボット本体の構築を行なった。また、上記知見に基づく省略された指示を補完して理解する人工知能の開発のための推論エンジンの作成を行なった。介護ロボットは一般に発売されている介護用リフトを利用した低コストで実現可能なものであり、本年度の作業によって会話収録に必要な環境作りを完成させる事ができた。現在は、実験を行なうために必要な安全対策を施す作業を行なうとともに制御用のPCを接続する事でリフトをロボット化する実験を進めている。本年作成した推論エンジンは音声認識・音声合成機能やロボットの各制御機能とのインターフェースを持ち、プロダクションシステムモデルに基づくスクリプトを簡易なXMLの形式で記述・実行する事ができる。本推論エンジンの完成により、推論機能を使った様々な実験をする事が可能になった。本年度においては、外部発表として今回新規開発した推論エンジンに関して2件の学会発表を行ない、様々なフィードバックを得る事ができた。また、本研究とともに様々な関連研究をまとめた論文がSpringerの書籍として出版された。
すべて 2008
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)
Modeling Communication with Robots and Virtual Humans, Lecture Notes in Computer Science, Springer 4930
ページ: 109-124