研究課題
本研究は、介護場面において介護者を補助するロボットの知的能力を向上させ、より効率の良い作業支援を実現しようというものである。介護の場面においては、介護者が二人一組で作業を行なうことが基本である。一人の介護者が被介護者を持ち上げると同時に、もう一人の介護者がそれを補助することで、被介護者の安全を確保する。ロボットを導入した以後においても、一人の介護者(以降、主介護者と呼ぶ)が被介護者の体を抑えつつ、ロボットの操作を担当するもう一人の介護者(以降、副介護者)が被介護者の体を持ち上げるという二人一組での作業が基本であった。どちらの場合でも二人以上の介護者を確保する必要があり、これまで2人以上の被介護者を確保することが難しい一般家庭においては、ロボット技術が使われることは少なかった。本研究の目的は、ロボットの知能化を推し進めることで、これまでその操作を担当していた副介護者の存在を不要にする技術を開発することである。当該年度は、介護者を補助するロボットの知的能力向上のために以下の項目を実施した。1. 典型的な介護作業において取り交わされる人間同士のコミュニケーションの収集・解析2. 典型的な介護作業における複介護者によるロボット操作履歴の収集3. 項目1の知見に基づく省略された指示を補完して理解する人工知能の開発4. 項目2の知見に基づくロボットの作業支援プログラムの作成5. 項目3~4の機能を統合した介護支援ロボットの試作・評価被験者安全性の観点からロボットシミュレータを用意し、ボタン操作及び音声操作条件(省略ありなしの2条件)における15人規模の模擬操作データを収録した。また、人工知能部分の開発を行い、国際会議SIMPAR2010や国内会議SI2010で発表するとともに開発したソフトウェアを公開した。
すべて 2010
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件)
Journal of Robotics
ページ: 11
International Conference on Simulation, Modeling, and Programming for Autonomous Robots
ページ: 275-287