研究概要 |
本年度では,2種類の集団状態を推定する手法を確立した.具体的には,まず駅構内においてロボットが5人以上の人々から構成される集団と相互作用を行った際の,人位置情報に関するデータ取得を行った.次に,取得したデータに対して,対人距離に基づくクラスタリングや,空間内に存在する人々の密度に基づく特徴両抽出などを行い,集団状態を推定するために重要となる特徴量を決定した.そして,取得された特徴量に対してサポートベクターマシンと呼ばれるパターン認識手法を用いて,2種類の集団状態を推定できる手法を確立した. さらに,不特定多数の人々を対象とした案内タスクにおいて,後ろ向きにロボットが移動することで,より多くの人々を案内に引き込む,集団状態制御手法を確立した.案内タスクにおいて集団の形成を誘発するためには,案内タスクの対象となる人のみではなく,その周囲に存在する傍観者や,通行人を考慮する必要がある.そこで本研究では,ロボットの移動方向や視線方向が,案内の様子を見学している傍観者らの興味を引きっける要因であることに注目した.具体的には,ロボットの移動方向は集団を形成することを妨げるという影響を及ぼし,ロボットの視線方向は集団の形成を誘発する影響を及ぼすと考え,ロボットが後ろ向きに移動することでより多くの人々を案内に引き込むことが出来ると考えた.さらに,対話時における人々の役割に基づいた対人距離の知見を利用することで,案内タスクにおいて集団を形成するための集団状態制御手法を確立した.現在,これらの成果を論文誌に投稿中である.
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