研究概要 |
本研究の目的は,単一の対象内におけるイメージの連続や不連続,その強弱といった情報を色彩やその濃淡によって表現する,新しいイメージ構造の可視化手法を確立することである.また,この手法を都市のイメージに適用し,小京都と呼ばれる都市のイメージ構造を可視化することによる「京都らしさ」の分析や,観光地において目的地を定めず,街のイメージをたどることを目的とした「感性街歩きマップ」の構築を行う. 本年度は,昨年度の研究で提案したイメージ構造可視化手法にもとづき,小京都における「京都らしさ」の分析を行なった.小京都として,金沢,萩,津和野を選定し,これらの都市の歴史的街並みそれぞれ30~60地点のイメージを10対の感性ワードを用いたSD法により評価した.そして,これらの評価結果に色彩を対応付けることで,小京都3都市のイメージ構造の可視化を行った.この可視化結果と,昨年度の研究で得られた京都におけるイメージ構造可視化結果を,可視化による色の違いや濃淡により比較した.これにより,小京都3都市における街並みのイメージ構造やイメージの強弱について,京都との共通点や相違点を明らかにした.京都を含めたすべてに都市においてみられるイメージ構造,各小京都において見られるユニークな特徴に関する議論を通し「京都らしさ」の要素を示すことができた. さらに,可視化結果にもとづき,各都市の街並みイメージの統一において問題となる区域を抽出した.イメージ構造可視化手法は景観の保全や改善が必要な区域の抽出を容易にし,都市計画においても効果を発揮することを確認した.
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