研究概要 |
本研究では,ロボットと人間のより豊かなコミュニケーションを実現するための要素技術を研究し,感性情報処理に基づいた擬人化ロボットの新しい制御手法として,感情認識および感情表現の工学的制御手法を提案することを目的としている。そこで平成21年度では,20年度の研究で得られた,ロボットの感情表現および感情認識のための基本技術の確立,ならびに,ロボットの感情空間の構築についての理論と技術の研究成果を基にして,以下の感情制御モデルの理論と技術を構築した. ベイジアンネットモデルにもとづく話者音声からの感情推定:話者から与えられる発話音声から韻律特徴を抽出し,特徴選択・変数合成の高次統計量解析を行い,ベイジアンネットワークの確率推論の機能を応用した感情認識ネットワークの試作モデルを実現した. 性格付けを考慮したロボットの感情遷移モデル:自らの内部モデルによって感情が生起し,話者からのコミュニケーションに反応して変化する感情遷移のモデルを考案した.対話者との音声会話からロボット内部の快-不快および覚醒-眠気のレベルを数値化する計算方法を考案し,内部に設定した4つの状態(「喜怒哀楽」に相当)間を自律遷移する数理モデルを実現した. これらの研究結果は,研究代表者らが参画している産学共同プロジェクトにおいて過去に共同開発された感性会話型ロボットifbot上に試作実装され,会話実験等を行うことでその効果が検証されている。また,これらの研究成果は11編の雑誌論文と9編の国際会議論文(いずれも審査有),ならびに,14編の国内学会発表論文(内,審査あり2編)として発表されている。
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